11時30分
息子がカテーテル検査室に入って間もなく、妻と娘、妻の両親が病院に到着しました。
息子を1人でみていて、とても心細かったのでホッと安心してした事を覚えています。
昨日の夜から何も食べていなかったので、お義母さんが作って来てくれたおにぎりを2.3個すぐに食べあげてしまいました。
カテーテル検査と心筋生検。あわせて1時間ちょっと、麻酔の状態を確認するのを加えると2時間弱。そう聞かされていました。
12時、13時、14時…
待てど暮らせど、検査終了の報告はきません。
なにか嫌な予感がして、心臓がバクバクしてきました。
14時18分
妻が下の娘の授乳へ、患者家族待合室から出た時、、数名の病院職員がカテーテル検査室へバタバタと走って入っていきました。
それを皮切りにさらに数名の職員、大きな機械が次々と検査室内へ入っていきました。
(これはもう、明らかにおかしい)
居ても立っても居られなくなり、待合室から出てカテーテル検査室の入り口の前に行きました。人が入る度に自動ドアが開き、中の状況が少し見えました。
物凄い人の多さ、慌ただしさ。20名近くいたと思います。
信じられない光景でした。
その後も続けて、沢山の職員や機械が検査室に入っていきました。
私たちは状況の説明を求めました。
看護師「説明しますので、待合室でお待ち頂けますか?」
心配で待合室に戻る事ができず、私と妻は2人で検査室の入り口前に立ち尽くすしかありませんでした。
手も足も震え、手に多くの汗をかいていました。
14時30分
1人の男の人が検査室から出てきました。
男の人「○○(息子)くんの心臓に穴を開けてしまいました。今から心臓の穴を塞ぐ手術を行います。」
淡々と説明されました。
(この人は何を淡々と言ってるんだろう。)
そう思いました。
怒りなのか、不安なのか分かりませんが、先ほどとは少し違った震えに襲われました。
息子の心臓の穴を塞ぐ、緊急手術が行われることになりました。
15時00分
看護師「ご説明致します。こちらへどうぞ」
私、妻、義母の3人が個室に通されました。
説明には、「心臓に穴が空きました」と言いにきた男性医師をはじめ医師3名、看護師2名の計5名が入ってきました。
・カテーテル検査は無事に終えた。
・その後の心筋生検の際に採取する量が少なかったので、首からもカテーテルをいれた。
・そのカテーテルを心臓に入れる際に誤って、カテーテルで心臓を貫いてしまった。そこから出血し、心臓が止まった。
・胸を開いて、心臓の穴は塞ぐ事ができた。
・心拍は再開したが、今は人工心肺につないでいる。
・今から洗浄のため、手術室へ向かう。
・これは医療事故です。
…という説明でした。
首からも入れた?
穴を開けてしまった?
胸を開きました?
人工心肺?
医療事故?
…ふざけるな
(良くなるためにわざわざここまで来たのに)
怒りや後悔が込み上げてきました。
16時00分
カテーテル検査室から手術室へ向かう廊下で私たちは変わり果てた息子と再会しました。
10名以上の医師がベッドの周りについて様々な機械を操作しながら移動している。その真ん中に小さな息子がいました。
沢山の管に繋がれて、口の周りは挿管されたせいで血だらけでした。
目を覆いたくなりました。
「カテーテル検査でなんでこうなる!!ふざけんな!!」
誰が穴を開けたのか、怒りを誰にぶつけていいのか、この時は分からず。私はその医師たちに向けて言葉を発してしまいました。
息子はそのまま手術室に運ばれ、感染予防の体内の洗浄が始まりました。
私の父母へ場所の詳細を知らせようとSNSを開きました。そこに1週間前に両親へ送った、息子が外で走って回っている動画がありました。動画の中の息子が走っている姿をみてしまいました。
それを見た瞬間、涙が止まらなくなり、立っていられなくなりました。